岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

花卉に蝶摺絵新古今集和歌巻 (かきにちょうすりえしんこきんしゅうわかかん)

俵屋宗達下絵/本阿弥光悦書 (たわらやそうたつ/ほんあみこうえつ)

桃山時代末期~江戸時代初期 17世紀初頭
紙本金銀泥摺絵墨書 1卷
33.3×941.7cm

本阿弥光悦(1558~1637)は、刀剣の鑑定や研磨のほか、「寛永(かんえい)の三筆(さんぴつ)」にかぞえられる能書家であり、作陶や漆芸(しつげい)などにも秀でる多芸の人でした。 この和歌書巻は、まず紙師の宗二(そうじ)が10枚の色変わりの紙を貼りつなぎ、次に絵師の俵屋宗達が松・藤・揚羽蝶(あげはちょう)などの図柄の版木で複雑微妙な下絵を展開させ、その後に光悦が『新古今集』の「雑歌中(巻第十七)」の内の和歌20首を散らし書きしたものです。金銀をたっぷり使った豪華な版画による下絵と、それに負けない流麗な和歌の書がみごとに呼応しています。この巻物は巻頭から巻尾まで、当初の体裁が完全に残っており、極めて貴重なものです。