岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

霊峰一文字 (れいほういちもんじ)

横山大観 (よこやまたいかん)

大正15年(1926)
絹本墨画金彩 1卷(付属1卷)
94.0×873.2cm (付属)94.6×44.4cm

約9メートルに及ぶ長大な画面に、涌き起こる黒雲の中から姿を現した霊峰富士の雄姿を描いたもので、大正15年、数え年59歳の横山大観(1868〜1958)が水墨の妙味を発揮して描いた力作です。当時の大阪文楽座の座頭(ざがしら)であった義太夫節の太夫・3世竹本津太夫(たけもとつだゆう 1869〜1941)が、病気全快したことを祝って再帰後の舞台を飾るために描きました。 同年9月15日から始まった『伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)』の公演で使用された後、文楽座の火事で危うく焼失するところを、幸運にも免れたという後日談があります。長らく所在が不明であったものですが、再び世に現れて公開の運びとなりました。