岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

竹生 (たかふ)

速水御舟 (はやみぎょしゅう)

昭和3年(1928)
絹本著色 1幅
37.5×51.4cm

十数本のカラフルな竹がしなやかに揺れ、白い霞が流れていく、夢幻的ともいえる情景が広がっています。
速水御舟(1894~1935)は、東京に生まれ、松本楓湖(ふうこ)の画塾で学び、日本美術院を中心に活躍しました。画風の刷新を重ねて画壇に大きな影響を与え、国内外で評価されながら、40歳で病により急逝した画家です。
この絵は、実際の竹林の印象や写生の成果に基づきつつ、細竹の群を描く中国の水墨画や、それらに倣った日本の竹図のイメージを重ねているようです。無数の葉を金泥でごく繊細に描く表現は、江戸時代初期の俵屋宗達の絵に学んだものと考えられます。落款の「昭和戊辰六月」の年紀から、33歳の作とわかります。