岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

木蓮小禽図  (もくれんしょうきんず)

鈴木其一 (すずききいつ)

江戸時代後期 19世紀中頃
絹本著色 1幅
89.1×33.3cm

紫木蓮(しもくれん)の花陰に1羽の鶯(うぐいす)が止まっています。紫色に墨を重ねて花の色合いや立体感を表わす、めずらしい表現が見られます。
鈴木其一(1796~1858)は、酒井抱一の門下筆頭の絵師で、師風を継承しつつ独自の画風を展開し、江戸画壇の発展に寄与しました。
この絵は、署名にある「?々(かいかい)」の号から、天保年間(1830~44)を中心とした30代半ばから40代半ば頃の作と考えられます。画面左上に「紫のゆかりたづねて鶯も 此花かげにねぐらをやかる 政醇」と記された和歌と署名は、播磨国(はりまのくに、現在の兵庫県)林田藩の第8代藩主・建部政醇(たけべまさあつ)によるものです。