岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

箱根温泉場ノ図・箱根湖上ノ不二 (はこねおんせんばのず・はこねこじょうのふじ)

歌川広重 (うたがわひろしげ)

江戸時代後期 19世紀中頃
絹本著色 2幅
各92.5×33.0cm

歌川広重(1797~1858)は風景版画で有名ですが、晩年は天童藩(現在の山形県)織田家からの依頼による肉筆画も数多く手がけました。この対幅(ついふく)はそうした「天童広重」にあたるもので、色を抑えた格調高い画風が特徴です。
右幅は湯本からほど近い温泉場である塔ノ沢、左幅は富士山をのぞむ芦ノ湖が選ばれています。塔ノ沢は箱根七湯の一つで、早川沿いの美しい風景が愛されました。江戸時代、箱根は関東を代表する温泉場として知られ、広重自身も訪れたことが分かっています。この絵は広重が箱根に旅した際のスケッチを元に描かれたもので、画家が目にした景色がおだやかな筆致によって表されています。