岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

堆黒屈輪文合子 (ついこくぐりもんごうす)

元時代 14世紀
1合 通高4.8cm 径27.2cm
「楊茂造」銘

蓋(ふた)の甲が平らで肩が張った、円形の大きな合子(ごうす)です。黒い漆を塗り重ね、全体に扇(おうぎ)形や眼鏡形をした屈輪文(ぐりもん)と呼ばれる渦巻き状の曲線文様をほどこしています。彫り込まれた部分をよく見ると、黒漆の間には朱漆が細く2層見えます。 底裏の銘にある「楊茂(ようも)」は、元時代に浙江省嘉興(かこう)で活躍した彫漆(ちょうしつ)の名工の一人で、日本でも古くから高く評価されてきました。本作の針刻銘は一概には信じられませんが、浅く丁寧にゆったりとした彫り文様がほどこされ、元時代の希少な黒屈輪の逸品といえます。