岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

渓村秋晴 (けいそんしゅうせい)

川合玉堂 (かわい ぎょくどう)

昭和時代前期 20世紀前半
絹本著色 1幅
137.0×51.3cm

川沿いの道を母と子が籠を背負い下っていきます。野辺にはすすきが揺れ、柿が実り、畑のむこうには二人の家らしき民家が建っています。その屋根の急勾配(きゅうこうばい)のつくりから、やがて訪れる冬の雪深さが思われます。
川合玉堂(1873~1957)は愛知県木曽川町に生まれ、京都で円山四条派の幸野楳嶺(こうのばいれい)に師事したのち、橋本雅邦(がほう)に入門して東京に移り、官展(政府主催の展覧会)の指導的存在として活躍しました。歌人・俳人としても知られ、徹底した写生に基づきつつ、詩情豊かな作品を数多く残しています。
この絵は、「日本の原風景」と称される玉堂らしい作風の1点で、題名は自ら箱に記したものです。