―特別展―

初公開 田中一村の絵画
―奄美を愛した孤高の画家―

2018年4月6日(金)~2018年9月24日(月)

田中一村(1908~77)の生誕110周年を記念し、当館収蔵の一村の作品5点を初公開する展覧会を開催いたします。

一村は、生前は無名に等しかったものの、美術番組で取り上げられたことをきっかけに近年再評価の著しい画家です。50歳で奄美大島へ移住し、亡くなるまでの20年間、それまで日本画の題材となることのなかった亜熱帯の生きものを写し描いて、独自の画境を切り拓きました。

本展では、この奄美時代に制作された稀少な作品のうち、「白花と赤翡翠」「熱帯魚三種」のほか、最高傑作と名高い「アダンの海辺」(個人蔵、展示期間8/24~9/24)を特別に展示します。また、写生にもとづき濃密な花鳥画を描いたことで、時代を超えて一村と通じ合う伊藤若冲、東京美術学校の同級生であった東山魁夷の作品や、一村が学んだ中国画・文人画・琳派の作品、近代の花鳥画、陶磁や漆工芸も併せて紹介します。奄美を愛した孤高の画家・一村の世界を、豊富な関連作品と共に辿る展覧会です。

展示作品の一部をご紹介いたします。

岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

田中一村

「熱帯魚三種」

昭和48年(1973) ©2017 Hiroshi Niiyama

岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

田中一村

「あぢさい」

©2017 Hiroshi Niiyama

岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

田中一村

「花菖蒲」

©2017 Hiroshi Niiyama

岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

東山魁夷

「朝の聖堂」

昭和46年(1971)

早朝の波静かな川面(かわも)に教会の塔と森が映っています。朝日が少しずつあたりを照らし、木々に緑色が兆(きざ)し始めました。フランクフルトの北方、ライン川の支流ラーン川ぞいに建つリンブルクの大聖堂です。
東山魁夷(1908~99)は横浜に生まれ、東京美術学校で日本画を学んだのちドイツに2年間留学し、ベルリン大学美術史部でヨーロッパ美術を研究しました。この絵は、若き日の思い出の国を61歳の魁夷が妻と再訪し、その折の習作によって2年後に描いた1枚です。

岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

伊藤若冲

「花卉雄鶏図」

江戸時代中期

地面に向かってついばむ雄鶏(おんどり)の姿、花びらや葉の一枚一枚の細かな描写は、写実的でありながら時に誇張を交えて真に迫り、装飾的な美しさをも添えています。
伊藤若冲(1716~1800)は、京の錦小路(にしきこうじ)の青物問屋の長男として生まれますが、40歳で弟に家督(かとく)を譲ってからは、画作に明け暮れる生活を送りました。自宅の庭に鶏を数十羽飼い、徹底的に観察しては写生に励んだと伝えられます。この絵は、落款や画風から、画業に専念して間もない頃の作と考えられます。

岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

呉昌碩(ごしょうせき)

「牡丹図」

中華民国9年(1920)

【田中一村の作品が見られる他館の展覧会】
田中一村記念美術館 (鹿児島県奄美市)
[特別企画展] 生誕110年 奄美への路I 田中一村
2018年3月23日(金)~6月19日(火)

佐川美術館 (滋賀県守山市)
[開館20周年記念特別企画] 生誕110年 田中一村展
2018年7月14日(土)~9月17日(月)

【佐川美術館・岡田美術館 相互割引のお知らせ】 
相互の田中一村展チケット半券をご提示により、入館料が割引になります。
・岡田美術館半券⇒佐川美術館 入館料100円引き
(一般1,000円⇒900円/高大生600円⇒500円)

・佐川美術館半券⇒岡田美術館 入館料250円引き
(一般・大学生2,800円⇒2,550円/小中高生1,800円⇒1,550)