岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

十二因縁絵巻断簡 (じゅうにいんねんえまきだいかん)

鎌倉時代 13世紀
紙本着色 1幅
27.0×40.8cm

満開の桜の下に、牙(きば)をむき出した三つ目の鬼がどっかりと座り、武装した「十王」に話しかけています。仏教の教えを絵解きした絵巻の一場面で、剣で調伏(ちょうぶく)しようとする王に向かって、鬼が「私を切っても無駄だ」と言っているのです。 この断簡(だんかん)の内容は、巻物の形で伝わる「十二因縁絵巻」(重要文化財、根津美術館蔵)冒頭の絵につながります。詞書(ことばがき)の書き方に違いがあることなどから別本かと考えられていますが、両者とも、のどかな景色、ひょうきんな鬼の姿をおだやかな画風で描いています。兵庫県三田藩(さんだはん)の藩主であった九鬼家の旧蔵品です。