岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART

饕餮文方罍 (とうてつもんほうらい)

殷(商)時代後期 紀元前14〜紀元前11世紀
1合 高55.8cm

短い頸(くび)が立ち上がり、肩が張り胴裾に向かってすぼまる縦長の大型容器を罍(らい)といいます。この作品のように方形のものは方罍(ほうらい)と呼ばれる酒器で、祭祀の儀式で用いられました。屋根形の蓋には、肩と胴の下に生贄の動物の頭をかたどった犠首(ぎしゅ)の把手(とって)が付き、饕餮文(とうてつもん)や夔鳳文(きほうもん)、長い胴を左右に展開する特徴的な龍文など、数種の文様が配されています。 蓋の裏と頸の内面に「亜(あぎ)」の図象銘(部族を示す族記号)が鋳込まれており、これと同じものが河南省安陽市侯家荘(こうかそう)の殷王墓出土の伝承をもつ青銅器にあることから、この方罍も同じ場所から出土されたと考えられます。